不動産売買は大きな金額が動く取引だからこそ、慎重な本人確認が欠かせません。登記簿謄本に記載された住所に実際に住んでいるか、登記識別情報や身分証明書の有無を確認するなど、多角的なチェックを行うことが、不正取引を防ぐための重要なステップとなります。
所有権移転登記のタイミングでは、司法書士が中心となって本人確認を徹底します。印鑑証明書、実印、身分証明書を用い、書類と所有者本人を照合することで信頼性を確保します。
また、実務上は不動産売却に向けての打ち合わせは所有者の自宅で行われることが多いです。売買対象となる不動産に実際に居住しているかを十分に確認することが、トラブル防止の大きなポイントになります。
「書類の偽造は巧妙、でも居住実態はごまかせない」
不動産詐欺の代表例である地面師の手口は、書類の偽造が非常に巧妙である点にあります。しかし、書類は偽造できても、実際にその物件に住んでいるふりをすることは簡単ではありません。生活感のある家具や日常的な痕跡、近隣住民への対応など、居住実態を装うためには多くのハードルがあります。
だからこそ、居住実態の確認は、不正取引やトラブルを防ぐための最も効果的な方法です。所有者が実際にその住所に住んでいるかを十分に確認することで、偽造書類による詐欺リスクを大幅に軽減できます。
「確認すべきポイント」
1. 登記簿謄本と現住所の照合:
登記簿の住所と現住所が異なる場合は、住民票や戸籍の附票を確認して現在の住所を特定。住所変更の登記が未了の場合は、事前に手続きを依頼します。
2. 現地確認の徹底:
不動産に所有者が実際に居住しているかを現地で確認。必要に応じて、近隣住民に話を聞くなどの調査を行い、居住実態を明らかにします。
3. 司法書士による直接確認:
司法書士が所有者と直接対面し、実印や印鑑証明書、身分証明書を基に本人確認を実施。書類だけに頼らない慎重な対応が求められます。
4. 居住実態の追加確認:
所有者が住んでいない場合や、登記簿記載の住所に居住実態がない場合は特に注意。疑わしい場合は売買を進める前に確認を徹底します。
「詐欺リスクを減らすために必要なこと」
居住実態を確認することは、詐欺を防ぐための最前線です。書類だけでは防ぎきれないトラブルも、現地確認を通じてリスクを減らすことができます。実務においては、登記情報や書類の確認に加え、実際の居住状況を把握することで、安全で信頼性の高い取引を実現することが可能です。
不動産取引は人生の大きな決断です。だからこそ、居住実態の確認という小さな一歩が、安心でスムーズな取引を守る大きな盾となるのです。「本当に住んでいるか」、その確認こそが、不動産売買の成功に向けた最も重要なポイントと言えるでしょう。
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相続・不動産の相談窓口 合同会社エボルバ沖縄 棚原 良太