「動かない資産、不動産が持つ特有の性質について」
資産にはさまざまな種類があります。たとえば、現金は「液体のように自由に流れる資産」、株式は「風に乗る羽根のように上下する資産」、ゴールドは「不動の山のように価値を保つ資産」といったイメージがあるかもしれません。そんな中で、「不動産」はその名の通り、動かない資産。これが不動産ならではの独自性を生み出しています。
①不動産の種類と性質
一言で不動産と言っても、実はその性質には大きな違いがあります。
• 「富動産」:価値を生み出し、利益をもたらす不動産。たとえば、賃貸マンションや好立地の商業ビルなどがこれに当たります。家族にとって「経済的な支え」になる存在です。
• 「負動産」:所有しているだけで負担がかかる不動産。管理費用が高く、売却も難しい空き家や土地などが典型です。家族にとっては「お荷物」になることも。
さらに、不動産には「同じものが一つとして存在しない」というユニークな特性もあります。どんな不動産も地域性や立地、さらには周辺の環境に左右されるため、個別に評価する必要があるのです。
②不動産が持つ人を留める力
不動産特有の性質として、私が最も興味深く感じることは「人を留める力」です。良い不動産ほどこの力が強いように感じます。読んで字の如く、不動産は動かない資産です。そのため、所有者をその場所に縛りつけるような力を持っています。
• 良い面
この力が家族のコミュニティを支え、絆を深める役割を果たします。たとえば、代々受け継がれた家は家族の思い出を刻み、次世代へのつながりを感じさせます。
• 悪い面
一方で、さまざまな土地で暮らしてみたいと考える人にとっては「足枷」のように感じられることもあります。自由な暮らしを求める人には、不動産の固定性が負担となる場合も。
③不動産が持つ他の良い面と悪い面
• 資産価値の安定性
• 良い面:他の資産に比べて価値が比較的安定しやすい。不動産は大きな変動が少なく、長期的に見れば価値が維持されることが多い。
• 悪い面:現金化に時間がかかり、いざというときにすぐに使えない。
• 地域性による影響
• 良い面:人気エリアに所有していれば、高い需要が期待できる。地域の発展とともに資産価値も上がる可能性がある。
• 悪い面:地域の衰退や災害のリスクを抱えている場合、その価値が一気に下がることがある。
• 感情的な価値
• 良い面:思い出の詰まった家や土地が、家族にとって精神的な支えになる。
• 悪い面:感情的に手放せず、不採算な資産を抱え込んでしまうこともある。
④相続の場面で感じる不動産の性質
特に相続の場面では、不動産の持つこれらの性質が顕著に現れます。家族間での財産分与を考える際、不動産の評価やその扱い方がトラブルの原因になることもあります。例えば、不動産をどう分けるか、誰が管理するか、売却するかどうか。これらの問題は、不動産が動かない資産であるがゆえに生じるのです。
まとめー最適な資産の形を考えるー
資産の最適な形は、ご家族の状況や価値観によって異なります。不動産を維持することが家族にとって良い選択となる場合もあれば、売却して現金化するほうが望ましい場合もあります。資産の性質を理解し、自分たちに合った資産形成を考えることが、家族の未来を豊かにする第一歩です。
「不動産」という動かない資産が持つ力を、どう生かしていくか。ぜひご家族で話し合ってみてはいかがでしょうか?
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相続・不動産の相談窓口 合同会社エボルバ沖縄 棚原 良太